斜行ってなぜするの?の疑問にお答えします

  • 繊維と糸

こんにちは松井です。

 

最近は朝晩は涼しいのですが、日中が蒸し暑いので

毎日出掛ける際の服装に悩みます。

 

私はほぼ毎日ジャケットを着用するのですが

この時期はまだ裏が背抜きで無いとやはりまだ少し暑いですね。

 

さて今回のブログは

 

 編地の斜向について少し触れてみようと思います。

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”斜行”は糸を扱う私達に取って耳の痛いお話しですが

 

営業中に会社に電話が掛かってきて電話に出た 開口一番に

お客様から「この前取ったあの糸斜行するんだけど」

というような話、実際たまにあります

 

本当は珍しいことであって欲しいのですが....(汗)

 

 

そもそも斜行とは...

 

ニット糸で扱う糸の多くは双糸になっています

双糸はZ撚り(右撚り)の単糸 を逆方向S撚りで2本撚り合わせた状態を指し

 

この単糸の撚り(下撚り)と 双糸の撚り(上撚り)の回数のバランスが不均一だと

左右どちらかの方向への歪みが発生します。

これが斜行です。

 

私達が普段糸を開発する際

この斜行のチェックはもちろんします。

 

その素材の適正ゲージ 仕上げ方法を用い

左右のいがみが何%かというのが判断基準で

一般的には5%以内がクリアの基準となります

1mの丈を編んで左右に振れている長さが5cm以内ということです。

 

この基準をクリアしたものが商品として新たに打ち出されていくわけですが

実際にはことはそう単純じゃないというのがこの斜行という問題なんです

 

テストをクリアした糸でも 斜向という問題が発生しまうケースを

私のこれまでの仕事の中での経験から あくまで個人的な見解となりますが

いくつか挙げてみます

 

1.使用する時期によって気温や湿度等 外的な環境が異なる為にトルク(撚り)に変化を生じさせる

2.  度目の違いによっての変化

*度目は詰めた方が、斜向すると報告されるケースが多い様に感じます

3. 本数取りによる違い

4. 元の原料のLOTによる違い

原料は化学繊維等を除き 天然繊維は動物性/植物性共に取るごとに差の大小は様々だが異なってくる

 

など、他にも影響を及ぼすと思われる点はあると思いますが

 

これらが単的 あるいは複合的に重なり

仮にその商品の斜向が許容の3%でテストをクリアしたとして

微量の変化も働き5%以上になるというケースは充分に考え得る という訳です。

 

 

余談ですがもともと微量に斜行が生じる バランスの糸は

多本取りで編むと、より斜行は顕著になります。

今まで例外を見たことがないので恐らくこれは間違いないです。

元々斜行の生じやすい麻の糸なんかは特にこれが起きやすいです。

 

 

 

100%斜行しない糸はありません。

しかし私達はこれを限りなく0%に近づけることを目指し

お客様に安心して使用頂ける糸作りを心掛けていきたいと思います。

では