シルケット加工/マーセライズド加工について

  • 繊維と糸

みなさんこんにちは松井です。かなり遅めの冬がようやくやってきました今年は全体に暖冬とも呼ばれ つい最近まで日中20℃なんて日もあったせいか、いよいよ冬本番ともなると寒さもいっそう厳しく感じます。

 

本日はシルケット加工/マーセライズド加工について少し触れてみたいと思います

 

知ってますかシルケット加工

シルケット加工とは、簡単にいうと主に綿の素材に光沢を持たせようという加工方法です。

イギリスのマーサー(J. Mercer)がこの加工を発明したことから マーセライズド加工とも呼ばれますが こと日本ではシルケット加工という呼び方が一般的です

さてこの加工ですが、ネットで調べた場合 苛性ソーダで処理をし糸を延伸させ繊維断面を整え 光沢感を放つと大体の場合に記述があります。

 

この加工は綿素材に限るということではありませんが、ほとんどのケースで綿100%の素材にのみこの加工が施され糸もジャージも流通しています。特に日本では一般的に流通している糸はほぼ綿100%のみでないかと思います

 

このシルケット加工 実はその施しの方法は一種ではなく大きく分けて3種に大別が出来ます。

その3種というのが 糸の状態でカセの状にし加工を施す 通称”カセジル” 同じく糸の状態の加工だが その糸の仕立てがカセではなく直線状に引っ張りを加え加工を施す”レンシル”  そして糸ではなく反物の状態になったものに加工を施す”反ジル”の3種があります。

糸でシルケットを施したもので反物を作成し、再度反物の状態でも加工を施す”ダブルシルケット”という加工もたまに目にすることもあります。

この加工 加工の大きな目的は”光沢”を持たせるということにありますが その作用を生む構造として自然に形成された綿の繊維断面を薬品と引っ張りの作用で整え 繊維自体の光の反射をより良くするということですが

この加工は光沢を生むという効果の他に メリット/デメリットとして下記の様な特徴も付与されます。

○発色性の向上:繊維断面を整えることで染料の吸着性が向上し 通常の綿糸と比較すると発色性が増し 鮮やかな色は表現可能となります

○風合いの変化:繊維断面を整え 綿糸本来の毛羽が減少することから 風合いが加工前の物と比較した場合すこしシャープなペタッとしたタッチになります。編地の膨らみも 本来の綿に比べると幾分かすっきりしたものになるような気がします

○ファスナー現象への警戒:こと細番手 ファインゲージにこの作用は寄りますが 通常の綿ではほとんどこの現象は起きにくく シルケット綿の細番手に関してのみ特にこの”ファスナー現象”いわゆる編地どおしのひっつきが起きやすくなります。そのほとんどの原因がいわゆる”静電気”で編地や商品の帯電性が上がりくっつきやすくなってしまうという現象が時折確認されます。

一般的にはプルオーバーなどの商品を平置きなどした際 前身頃と後ろ身頃がぺたっとくっついてしまうという症状です。

 

以上です。少しでも参考にして頂けたらと思います