ニットの原料について【カシミヤ編】

  • 繊維と糸

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素材部の沓澤です。以前は販売をしていましたので、これからは原料からの視点でニットのこと、糸のことを覚えて、振り返りをしながら皆さんと情報共有できたらと思っています。

まず、ニットのイメージはやっぱりA/W!そんなイメージの方、多いのではないでしょうか?

実際に僕も販売員時代までは皆さんと同じでした・・・しかし、原料や糸のデザインによっていかようにも姿や機能を変えるニット。

奥深さを毎日のように感じています。・・・といってもイメージはやっぱり大事です!

高級なニットといえばカシミヤ。そこで今回は、獣毛の最高級原料【カシミヤ】について特徴、メリットとデメリット、生産、手入れ方法について書いていきます。

 

■獣毛について

 

まず初めに、獣毛について説明をいたします。動物の毛は、ウールとヘアに大別され、羊の毛を羊毛(ウール)、それ以外の動物の毛は獣毛(ヘア)に分けられます。(獣毛にはウールマークが付けられません。ヘアは毛で表示します。)

カシミヤは、カシミヤ山羊から取れる高品質獣毛素材です。その高級さから「繊維の宝石」とも呼ばれます。

カシミヤの毛の色には、ホワイト、グレー、ブラウンがあり、ホワイトカシミヤが一番高級で、淡色にも染められます。

 

■カシミヤの特徴

メリット
・軽い
・保温性が高い
・吸湿牲が高い
・柔らかい肌触りと上品な光沢
・弾力性に優れ型崩れしにくい
・伸縮率が優れている
・外気を遮断して放熱を抑える
・一定の湿度を保つコントロール機能がある

デメリット
・ピリング(毛玉)が発生しやすい
・摩擦に弱い
・撥水性が弱い
・水分に弱く、シミになりやすい

 

■カシミヤ原毛の生産とランク

カシミヤの生産地は中国、モンゴル、イランが主な生産地です。

 

 

寒暖差の厳しい所で生息をしているので、表面は雨や風などから身を守るために粗毛で覆われ、その下に寒さから守る柔毛が密集して生えています。この柔毛を春の毛の生え代わりの時に、櫛で漉き取ったり拾い集めたりしますが、1頭から取れる量は150~250g…

羊の場合、1頭から取れる量が3,000~4,000gなのでさらにその希少価値の高さがうかがえます。また、カシミヤの原毛にもウールのようにランク付けがあり、下記のように分かれます。

ランク     原毛の太さ      原毛の長さ
1等級    14マイクロン前後    34mm~38mm
2等級    14~15マイクロン          30mm~34mm
3等級    16マイクロン前後    28mm~30mm
4等級    16マイクロン以下    30mm以下
この等級以下の原毛もあるようです。

原毛の太さによって価格の上下も非常に変わってきます。お店などでよく表記は同じカシミヤなのに・・・こんなに値段が違うのはなんで?なんて経験はよくあると思いますが、そこがこの原料のランクによるところなんですね!

 

ちなみに…人間の毛髪の太さは40~60マイクロンなので、カシミヤはその4分の1程の細さになります。柔らかくて、肌への刺激が少ないのも納得ですね。

 

■大事なセーターのお手入れ

 

 

・着用後は毛並みに沿ってかるくブラッシングをし、汚れやほこりを取ってください。※合成繊維のブラシの使用は控えてください。

 

・長時間の着用は、型崩れやピリングが発生しやすくなるので避けてください。毎日連続しての着用は控え、1日着たら1日以上は休ませて下さい。

 

・ピリングが出てきてしまった時には、ハサミで生地を切らないように注意をして、毛玉だけを切り取ることをお勧めします。

 

・カシミヤにシミが出来てしまった場合、そのシミが虫食いの原因となってしまう場合があります。まず柔らかめのタオルに薄めた洗剤を付けて、シミの部分をふき取ります。その後に水に浸したタオルで洗剤を綺麗にふき取ります。終わったらブラッシングをして、乾くまで部屋干ししてください。

 

・意外かもしれませんが、なるべくクリーニングに出さないことをお勧めします。カシミヤの性質上、繊維の表面は天然の油脂が含まれています。それが洗濯の水によって洗い流されてしまい、カシミヤ特有のぬめりや風合いが徐々に失われていきます。
※クリーニングが必要と判断される場合は、カシミヤのクリーニング実績が多いお店をオススメします。

 

■最後に丸安毛糸の素材をご紹介

・セーブリッチ 2/16(カシミヤ80% セーブル20%)ご存じの方も多いA/Wを代表する糸です。

 

 

詳細はこちらへ↓

https://www.maruyasu-fil.co.jp/departments/monteluce/yarn-collection/656

 

このセーブリッチにはカシミヤと同等、あるいはそれ以上の価値を持つセーブルをブレンド。ずっと触れていたくなる感覚が人気の理由です。

 

 

そんな高級素材【セーブル】についてもまたの機会でお話しできればと思います。

 

■まとめ

 

今回は、【カシミヤ】についてまとめてみましたが、振り返って調べてみるとその生産背景や原料のランク、取り扱いの注意点など

まだまだ知らないことがたくさんあるように感じました。

 

肌触りのいいカシミヤをより楽しむためにも理解を深めて、セーターやマフラーなど大事にケアをしながら過ごしていきたいですね。

では、また次回。