「リネン?ラミー?麻?どっち?いったい何なの?」にお答えします。
- 繊維と糸
- 投稿日:
- 2023/11/21
- (更新日:2023/10/30)
1
皆さんこんにちは!
乾燥している冬は特に編みにくい!?麻について解説していきます
麻の種類
麻とは、長くて強い繊維が採れる植物の総称で、種類も多く20種類くらいあります。
その中でラミー(苧麻)とリネン(亜麻)の2種類だけが日本で衣料用として認められ、統一して麻表示になります。
麻の一種であるヘンプ(大麻)も商品化をされていますが、表示は指定外繊維(ヘンプ)になります。
その他にジュート、マニラ麻、サイザル麻などがありますが、繊維が太く硬いのでロープや麻袋に使用をされています。
1.亜麻(あま/リネン)
原料植物:アマ(アマ科)
おもな生産地:フランス・ベルギーなどヨーロッパ
用途:手織り・手編み糸、衣料など
2.苧麻(ちょま/ラミー)
原料植物:カラムシ(イラクサ科)
おもな生産地:中国・フィリピン・インドネシアなどアジア、ブラジル
用途:手織り・手編み糸、衣料など
3.大麻(たいま/ヘンプ)
原料植物:アサ(アサ科 ※旧分類はクワ科)
おもな生産地:ルーマニア・イタリア・中国
用途:衣料、生平(きびら)、ロープ
4.黄麻(こうま/ジュート)
原料植物:コウマ(アオイ科 ※旧分類はシナノキ科)
おもな生産地:パキスタン・インド・タイなど熱帯アジア
用途:麻袋、カーペット基布
5.洋麻(ようま/ケナフ)
原料植物:ケナフ(アオイ科)
おもな生産地:インド・タイなど熱帯アジア
用途:壁材、パルプ用品
麻の特徴
麻は繊維断面の中央にある空洞が、吸水時には水分を含み発散すると締まり、吸水、発散性の優れた素材です。繊維の構造上、他の繊維にくらべると、強度やコシの強さがあり、光沢もあります。乾燥時よりも水分を吸収した時の方が強度も増しますが、その反面、収縮性が無くシワになりやすいのが欠点になります。草の茎が原料のため節があり、繊維の太さにばらつきが多く、糸にした時に均一な太さになりにくい原料です。
余談ですが・・・
水に濡れると乾燥時に比べ6割も強度が増すという大きな特徴もあり、逆に言うと乾燥時は糸強度が弱いということにもなります。
乾燥する冬場に麻の糸で春夏ものの製品を制作するのは編立が困難と良く言われるのは・・・大きくはこの為です。昔のニッターさんは麻の糸を編む前日の夜にお風呂場に麻のコーンをくべ、蓋を外した風呂釜を焚いて夜通し湿気を吸わせるというような工夫をしたりしたそうです。同じ理由で今でも麻を編みやすくする工夫がなされています。
ラミーとリネンの違い
ざっくりとリネンとラミーの違いだけを比べると・・・
リネン:柔らかい、しなやか、ふくらみがある
ラミー:やや硬め、光沢がある
このような感じです。詳細は↓です
①ラミーの生産地は、中国南東部、フィリピン、ブラジルなどの暖かい地域に多く生育しています。生育が早く、亜熱帯地方では年に3~4回、熱帯地方では6回も収穫ができ、高温多湿で日光があれば、農薬はほとんどなくても成長をするのでエコロジーな原料になります。リネンはロシア、フランス、ベルギー、中国北東部などの寒い地域に生育をしています。収穫は年に1度です。
②ラミーは衣料用の天然繊維の中では一番長く、20~250mmあり平均で60mmくらいで、繊度は1.5~20デニールとばらつきがあり平均で4.5デニール程。これがラミーのシャリ感になります。
リネンの繊維長は短く、20~30mmくらいで、糸にするには不都合ですが、元々が数十本ずつがペクチンで接着され、繊維の束として長くなっていることを利用をして糸にします。繊度は2デニールくらいで細いので、ソフトでしなやかな風合いになります。
③強度においては天然性の中でラミーが一番強く、次いでリネンになります。また、共に水分を含むとさらに強くなります。
④色はラミーはシルクのような光沢がありますが、リネンはナチュラルな麻色(亜麻色)で色を付けるときには晒をしてから染色をします。
⑤風合いはラミーはシャリ感とコシがあり、リネンは柔らかくしなやかです。
⑥共通の利点として、吸水性、発散性、通気性、防虫性、静電気を通しにくいなどです。
⑦欠点としては、伸びにくい、しわになりやすいなどがあげられます。
⑧ラミーは多年生(茎や葉は枯れてもそのまま残り、また翌年に緑の草に戻る)
リネンは一年生(冬には枯れてなくなり、翌年は新芽から成長をする)
ラミーは生育が早く、亜熱帯の地方では年に3~4回収穫することができ安価ですが、リネンは年に1回の収穫のため高価になります。
まとめ
今回は麻についてまとめてみました。特徴はつかんで頂けたでしょうか?個人的にも麻素材は肌離れが良く、湿気の多い季節は非常に過ごしやすいので大好きです。特にシルクとはまた違う光沢がナチュラルかつ上品な製品の見栄えになります。企画の参考になれば幸いです。
それではまた!