今回は、定番的に使われているアクリルについてまとめていきます。皆さんはアクリルにはどんなイメージをお持ちでしょうか?
安いセーターに使われているイメージが多いかな・・・
アクリルは毛玉になりやすくて嫌だな・・・
このような印象をお持ちの方は実際多いのではないでしょうか?そこで素材の観点からご説明いたします。
目次
アクリルについて
アクリルは3大合成繊維(ナイロン、ポリエステル、アクリル)の1つで、中でも一番親しみのある繊維です。原材料は石油を化学的に合成して作られます。 合成繊維の中では最も羊毛に近く、ふっくらと柔らかく、暖かみがあり、肌触りの良い繊維です。この「ふっくら」は、かさ高性、またはバルキー性と呼んでいます。 熱を加えると繊維がウエーブをして縮み、ふっくらした風合いになります。カシミヤのように柔らかい物から、モヘアのように少しハリのある物まで自由に作れます。
特徴
1、羊毛のように保温性があり、軽くかさ高があります。
2、羊毛と同じく弾力性があり、回復力も良く、しわになりにくい。
3、染めやすく発色性があり、染色堅牢度にも優れています。
4、太陽光に当たっても、ほとんど影響をうけません。
5、カビや虫食いの心配もありません。
欠点
1、耐熱性にやや劣り、高温の物に直接ふれると繊維が溶けやすい。
2、毛玉が出来やすく、取れにくい。
3、静電気が発生しやすい。
バルキーアクリルとは
バルキーアクリルは、染色時の熱によって縮れるため、中に空気が入り膨らむというわけです。
これがいわゆるバルキー加工というものです。
染色前後では糸の番手が変わります。
同じ重さで、糸が縮れて膨らむ(糸が太くなる)ということは軽くなったということなのです。
この加工によって、嵩だか性が増し、より軽く、より保温性に優れた糸に仕上がるのです。
普通のアクリルは熱をかけても縮れたり、膨らんだりしません。
ハイハイバルキーアクリルというさらに膨らむものもあります。
同じ番手でも、加工前と加工後を比較してみると、、、
見た目でもこんなに膨らみ方が変わります。
ウール100%よりも軽く、嵩高になるので保温性もアップし、ニットの目面もきれいになります。
こういった理由でアクリルが利用されています。
オススメの糸
特徴
メリノウールとバルキーアクリルをブレンドした糸。
ウールの風合いの良さにバルキーアクリルの嵩高性が加わり、丸みを帯びたその糸はよりボリューミ-で軽いセーターを作りだす事が可能です。
ミドルゲージ・ローゲージ共に企画に合わせて4種類の太さの糸から選ぶことが出来、とても汎用性に優れた素材です。
在庫など詳細は↓URLからご確認ください!
https://www.maruyasu-fil.co.jp/departments/monteluce/yarn-collection/674
なぜ安物のイメージ??
戦後、ウールが高価だった時代に、その代替として当時安価だったアクリルが多く出回った事により、アクリル=安価=安物製品というイメージが付いたと言われています。
特に、日本では安物なイメージが強いようです。
なぜなら、ヨーロッパに出張に行っているスタッフに聞いたところ、イタリアではアクリル=安物のイメージは無いとの事だったからです。
まとめ
今回は改めてアクリルについてまとめました。やはりファッションは歴史なので今までのイメージを払拭するのは簡単にはいかないと思いますが、広い認識をもって企画に反映していただければ幸いです。それでは。
画像はコチラ↓よりお借りしています。
https://www.tokyo929.or.jp/column/fiber/post_84.php
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記事を書いた人
素材部の沓澤(クツザワ)です。出身は山形です。前職ではメンズセレクトショップで働いていました。皆さんと一緒にかっこいいニットをつくっていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。