
こんにちは、八木です。
今回はニット特有の、斜行する糸についてお話をしたいと思います。
目次
斜行とは
“斜行”とはニットならではの現象で、編地が歪んでしまう現象です。
“斜行” または “斜向”と書きます。どちらが正しいのかと聞かれますが、ニット業界の言葉なのでどちらが正しいというのはありません。どちらでも通じます。
なぜ斜行するの?
糸の撚糸のバランスが悪いと斜行します。
ニット糸で扱う糸の多くは双糸になっています。双糸は一般的に Z撚り(右撚り)の単糸 と 逆方向のS撚り(左撚り)の単糸 の2本を撚り合わせたものです。この 単糸の撚り(下撚り) と 双糸の撚り(上撚り) の回数のバランスが不均一だと左右どちらかの方向へ編地が歪んでしまいます。
これが斜行です。
斜行してしまう糸は一見使いづらいと思いますが、使い方で面白い編地に変身したりもします。
次は、S撚りとZ撚り(斜行してしまう糸)を活かした編地をご紹介します。
S撚りとZ撚り(斜行してしまう糸)活かした編地のご紹介
S撚りとZ撚りを使う時のコツは、同じバランスの撚りのものを同じ分量使うことです。そうすると斜行しません。
↑ SとZの差が分かりやすい編地がこちら!
白:S撚り グレー:Z撚り で1㎝間隔のボーダーで交互にリブを編んでいます。
使用糸: 35/1 スポエリーアイスコットン(接触冷感のコットン糸)
↑ こちらも、同じ要領で編んだ編地です。
同色のS撚りZ撚りの糸を、ボーダーで交互にリブを編んでいます。
使用糸: 1/16 ピサ(コンニャク加工をした綿スラブ)
↑ S撚り(ターコイズ)とZ撚り(ライトブルー)で袋ジャカードにすると、凹凸のある面白いテキスタイルにもなります。
使用糸:35/1 スポエリーアイスコットン(接触冷感のコットン糸)
この凸凹の編地は広げると、下のようなチェック柄の袋ジャカードなんです。(袋ジャカードでないとこのように膨らみません)S撚りとZ撚りで袋に編んだだけでこんなにも見た目が変わり面白いですよね。
また、柄の大きさを変えたりするとリバーシブルでも使用できますし、同色で作っても面白いのではないでしょうか。
↑ こちらはS撚りとZ撚りを半コース切替で編んだもの。ふり柄っぽい見た目になります。
使用糸: 1/16 ピサ(コンニャク加工をした綿スラブ)
S撚り・Z撚りのストックカラー素材の紹介
●スポエリーアイスコットン
https://www.maruyasu-fil.co.jp/14697853516499/index.html
接触冷感の綿の糸。
長年の期間を費やし独自に開発した特殊な撚糸により、化学繊維を一切使用せず、また後加工等も施すことなくこの接触冷感を開発。この原料を強撚のS撚り、Z撚りのそれぞれに仕上げたことで、シャリ感とひんやりした清涼感のあるタッチは、快適な着心地を実現します。天然素材100%の確かな品質と安心感は、着心地と品質にも反映することでしょう。
●ピサ
ピサはHPに現在載っていないのでURLがございません。すみません。
コンニャク加工の綿スラブ。
綿スラブにコンニャク加工を施した細番手の綿スラブ糸です。
天然のコンニャク樹脂を使用した地球に優しいエコギマ加工です。
コンニャク加工をすることにより、通常のギマ加工に比べ粉落ちの現象が抑えられ、また綿の毛羽を閉じ込め張りを持たせることにより綿スラブ特有のカジュアルな表情から一変 上品ですっきりとした表情と清涼感に優れます。
●クレスタ
https://www.maruyasu-fil.co.jp/article/14119704.html
綿と麻の混紡糸。
色合いにも工夫しており、麻特有の原着の色味を利用し、その上から染色を施すことで天然素材の質感に合う深みのある色を表現しています。
まとめ
撚りのバランスが悪いと斜行してしましますが、この斜行を活かした編地はなかなか表現出来ないものなので、他にないデザインができる楽しみがあります。
またS・Zでカラーストックがあるものは、S撚りとZ撚りそれぞれ同じ撚り回数で作られているので、一緒に使っていただくと斜行しない編地をつくることができますので
ぜひお試しください!!