羊毛?獣毛?毛?表記について頭を整理しましょう!
- 繊維と糸
- 投稿日:
- 2024/1/11
- (更新日:2023/12/28)
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あけましておめでとうございます。沓澤です。
今回は、年始初回そして毛糸屋らしく改めて羊毛や獣毛について、頭を整理するような内容をお届けいたします。
そもそも羊毛(ウール)と毛(獣毛)の違いってなに?
衣類表示で「ウール」と表示されている場合は、羊毛を指します。では「毛」と表示されているときは、何を指すのでしょうか?
「毛」と言うのは、羊毛を含むカシミアやアルパカ、アンゴラなどの動物の毛全般を表しています。つまり、表示をすることで化学繊維との区別をしているのです。
例えば、毛100%の表示があれば、アクリルなどの化学繊維ではなく、何かしらの毛素材で作られているということを表しています。
羊毛の特徴
まずは王道の羊毛(ウール)についてです。ウールの持つ素晴らしい特徴といえば、それはやはり吸湿性・保温性です。
冬場に大活躍してくれるニットアイテムのほとんどにはウールが使われているのもこれが理由の一つです。ウールの表面には人間の毛髪でいうところのキューティクルに相当する「スケール」と呼ばれる鱗に覆われています。このスケールの隙間から水蒸気(湿気)を吸い込むことができるのです。またウールの繊維自体が微かに波打っているため、自然と繊維と繊維の間に空気を含みます。私たちの体から発せられた暖かい空気をニットの繊維がキープすることで、保温効果も期待できる。というわけです。
カシミヤの特徴
カシミヤの繊維は非常に細いです。(繊維径直径の平均14~16ミクロン)この事から分かるようにカシミヤ繊維は、1本の糸を仕上げるにあたり、より多くの本数を束ねる事が可能です。また外気を遮断し放熱を抑えると言う特徴をもったカシミヤは、熱伝導率の低い空気を多く取り込むことが可能で、暖かな空気を内へとため込みます。更にカシミヤの表面にあるキューティクル構造が、空気中の水分の吸収・放出を行うことで、一定の湿度を保つコントロール機能の役割を果たします。これらの性質がカシミヤの優れた軽さと保温性につながります。
アルパカの特徴
アルパカの体毛はカシミアとよく似た毛で、よくウールやカシミアと比較されますが、ウールやカシミアよりも丈夫で強いという特徴があります。肌触りはカシミアに劣りますが、なめらかですべりの良い素材で光沢があるのも特徴的です。中でも生後3か月以内に採取されるアルパカの産毛をベビーアルパカといい、一生に一度しかとれないため希少価値が高い高級素材です。ベビーアルパカは子供の毛ですので繊維が細く、太いアルパカの毛に比べて柔らかく、カシミアのようななめらかさがあります。
モヘアの特徴
モヘアは、トルコのアンカラ地方が原産地のアンゴラ山羊の毛です。獣毛の中で最も滑らかで絹のような美しい光沢があり、純白のモヘアが最高級とされています。衣料品だけでなく、室内装飾用生地としても珍重されています。主な原産国は、トルコ、南アフリカ、アメリカです。近年、干ばつの影響を受けモヘアの原毛総量が大きく減っているので、希少価値が高まっています。
アンゴラの特徴
アンゴラですがこれはアンゴラウサギから取れる毛となります。3KG程しかない身体から刈り取るので貴重ですがデリケート過ぎる為にウールや合繊と混紡されることが多くなります。色が白くシルクの様に細く滑らかで毛の構造が空洞の為に保温性に優れ暖かい。しかし、表面にうろこ(スケール)が無く抜けやすいデメリットが有ります。
ビキューナの特徴
高級すぎて全くお馴染みではないビキューナについて御紹介します。カシミヤ以上の最高級素材として扱われてきました。
南米高地(標高3500~5000M)に生息しカシミヤよりも軽く暖かい毛を持っています。(繊維直径10~14マイクロン)非常に高価ですが、これは頭数が少なく(一時は絶滅寸前まで減ってしまった)二年に一度しか刈り取れません。また一度に250~350g/頭しか刈り取れない為に非常に希少性が有り高価で取引されています。
キャメル(ラクダ)の特徴
ラクダの毛は、繊維表面が滑らかで、毛が絡み合ったりすることもなく、長期間使っても固くなりません。 元に戻そうとする働き(復元力)が強いので、固くなりにくく、抜群の耐久性が特徴です。 適度な弾力がいつまでも長持ちし、長期間ふんわりと使うことができます。 20cm以上もあるキャメルの長毛は、丈夫で太く腰の強い繊維です。一方、染色性が悪く、流通しているほとんどがナチュラルカラーなので好きな色にしたい!のようなことは難しいです。
ヤクの特徴
ヤクはウシの仲間で、標高3,000メートル以上の草原や岩場に生息する、寒さに強い動物です。
ヤクの毛は、動物系の天然繊維に分類され非常に良質で希少な素材となります。
おもに中国エリアの高原の一部と、チベットに生息しています。それらの地域は、内陸のため気候は厳しく、夏の時期でも昼夜の寒暖差が、30℃にもなるといわれる過酷な土地です。
寒冷地に生息するため、厳しく過酷な環境において発達したヤクの毛。
寒さから身を守れるよう、やわらかで上質な内側の毛と外側の硬い毛とで覆われ、
保温性や防水性に優れ、分厚くなっています。
まとめ
羊毛と獣毛について改めてまとめてみましたがいかがでしたでしょうか?他にも何度か紹介しているセーブルやフォックス、ラクーン等、種類はまだまだあります!
その種類によって特徴が全然違うので組み合わせる楽しさも増えますね。それでは。