ピリングを抑える「抗ピル加工」について

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住吉正明

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こんにちは。丸安毛糸製品部の住吉です。

いよいよ冬本番、ニットアイテムが主役の時期がやってきましたね。

今年はこの時期が来るまでが長かった…もう来ないのかと思った時もありました。

ニットを着用しているとどうしても気になってしまうピリング(毛玉)。

今回はピリングと、ピリングを防ぐ加工についてお話しします。

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ピリングとは

ピリングは繊維どうしが擦れ合い、それによって絡み合う事によって束になり、毛玉ができる現象で、多くのケースはニットの見た目が損なわれ、くたびれたような印象になってしまいます。

ヴィンテージニットのピリングには味わいがありますね。

摩擦の影響をうけやすい脇、袖などに多く発生してしまう場合があります。そして、着用時だけではなく、

洗濯の際にも注意が必要です。

洗濯時にこすれあうことでも毛玉が発生してしまったり、ウール製品に柔軟剤を過度に使用することにより柔軟剤の成分がウール繊維の撚りを緩めてしまうことでピリングの原因になる可能性があるとのことです。

特にピリングができやすい繊維はアクリル、ウール

アクリルは毛繊維に似せた繊維であるため、軽く、暖かい特性があります。
ただ、繊維自体の強度が強く、絡み合ってしまうため、非常に毛玉になりやすいです。

ウールはふくらみ、弾力性に富み、保温性に優れています。
ただし、これは他の繊維にはない、とても細かいクリンプ(鱗=スケール)、と呼ばれる鱗状の表皮をもっているための特性ですが、ピリングしてしまう主な原因はこの鱗によって繊維どうしが絡み合い、ピリングができてしまうのです。

アルパカなどの獣毛繊維などは比較的、スケールが少ないために毛玉が取れて落ちる事があります。

(ピル脱落)

抗ピル加工とは

薬品で処理することにより、 ピリングが発生してしまう原因の摩擦をしにくくさせ、また、繊維自体の強度を落とすことで、繊維同士が、絡まって毛玉になる原因を防ぐ加工です。
ただし、抗ピル加工も全く毛玉ができなくなるわけではなく、毛玉をできにくくする加工方法になります。

毛羽を発生しにくくする加工

ピリングの初期段階である毛羽の発生は、さまざまな方法で抑制できます。

糸の段階で捲縮加工を行う、糸を太くする、糸を長くする、糸の撚りを強くするなど…です。

また、編地段階では密度を高くしたり、表面を平滑にするための編組織や適度なヒートセット、樹脂加工

などがあげられます。

毛玉を絡まりにくくする加工

毛玉が成長しないように絡みにくくするのも抗ピリング加工のひとつです。

例えば、編地の表面を剪毛や毛焼きをして、あらかじめ毛羽を小さくし、ピリングの発生を抑制することも行われてます。

上記の方法も含め、いくつかの方法を組み合わせてピリングの抑制を図ります。

まとめ

毛玉を防ぐ加工を紹介してきましたが、これらの加工は糸が本来もっている風合いを悪くしてしまうデメリットもあるので、ご理解の上で加工を選んでいただきたいと思います。

記事の内容やニットに関することは、お気軽にお問い合わせください

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記事を書いた人

20数年のアパレル経験を生かした、特にレディースアパレルの皆さまに
喜んでいただけるようなサンプル製作に日々励んでおります。

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