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皆さん、こんにちは。井野です。

アパレル業界において、生地の廃棄はここ何年も問題になってきました。私もこの問題について学生時代に勉強しましたが、他業界と比べると、廃棄量の多さは第2位だそうです。サスティナビリティや環境問題に敏感な昨今、この問題は極めて重要視されることが安易に想像出来ます。ですが、コロナの影響により、更に悪化した状況になったそうです。今日は、Harvard Business School(ハーバードビジネススクール)の記事で取り上げられていた、コロナによる生地の大量廃棄、またその対策について紹介していきます。(https://hbswk.hbs.edu/item/can-fabric-waste-become-fashions-resource)

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コロナ渦で起きた問題

そもそも、アパレル業界は先のシーズンを見込んで、企画、デザイン、生産を行わなければいけません。そのため、いざ何かあった時にはやはり大きな打撃を受けます。コロナのパンデミックが起きた際、多くのブランドは既に生地の在庫を大量に抱えており、この問題に直面しました。AdidasやZaraは損出が出ても生地の買い取りをしましたが、American Eagle Outfittersなどは支払い拒否をしたそうです。これは、廃棄だけの問題に留まらず、バイヤーとサプライヤー間における深刻な格差が生まれます。生産者は発展途上国であるブラジルやバングラデシュの人達が多く、特にバングラデシュの衣服生産者の80%は、低賃金で働く女性達だそうです。ファッション業界においてサプライチェーンが崩れるということは、そういった女性達がパンデミック最中に露頭に迷うということでした。

生産者が出来ること

生地の廃棄はサプライチェーンでも横行しています。ファストファッションの需要により、安いけれど低クオリティーの服はたくさん捨てられてきました。一方、ハイブランドは希少性や限定性を出さなければならないにも関わらず、バルクでの生地オーダーをしなければなりません。これでは、使われない生地が多く出てしまいます。多くの場合、生地の廃棄というと、消費者が使わなくなった衣服の廃棄を想像しがちですが、生産に際しての生地の廃棄を無くすことは、廃棄問題の大きな改善に繋がります。実際に、25%以上の服は売りに出されていません。

消費者が出来ること

根本的な解決策としては、まず消費者がむやみやたらに買わないということです。Patagoniaの2011年のブラックフライデー(アメリカにおけるセールで一番大きなイベント、日本で言うと年末セールぐらい大きなイベント)用のニューヨークタイムズの広告には、Don’t Buy This Jacket (このジャケットを買わないでください)と大きく書くことで、無駄な買い物を防ごうとしました。Patagoniaのジャケットは、タイムレスなデザイン、機能的な性能、長持ちするクオリティーを併せ持つため、新しい物をすぐに買う必要がないそうです。また、わずかに価格を高く設定することで、すぐに捨ててしまうというマインドを脱ぎ去ろうという意図もあります。

デザインの過程で出来ること

デザインの観点から言えば、余った生地を使って、新しいデザインの衣服を作るということが上げられます。これは、ここ最近のアイディアではなく、インドのベンガル地域では生地の切れ端を集めて縫い合わせることで、衣服に保温性を加えるということが、伝統としてあります。しかし、難点を上げると、一貫性のないデザインから、それぞれ集まった生地を改めて新しいデザインの落とし込むのには、時間がかかります。

デザインプロセスは、普通、スケッチに書き起こしたデザインを何度も形にしていくことで、製品として仕上げていきますが、場合によって、10-30%の生地が捨てられることになります。また、トレンドを意識しないといけないため、古い生地には手を付けずに終わってしまうこともあります。

そこで、デザインファーストではなく、ファブリック(生地)ファーストの考え方も1つの手かもしれません。ボックスなシルエットやストレートなカットのデザインは、無駄な生地を出さずに作れます。こうしたメソッドは、生地の余りをゼロにする動きに、より大きな規模で貢献出来るでしょう。

まとめ

サスティナブルな考え方がここ何年かで浸透してきて、より多くの人々がアパレル業界における廃棄の問題に関心を寄せている気がします。以前でしたら、環境問題に熱心な方ぐらいしか意識を向けなかったことも、一般的な人が、サスティナブルかどうか?環境に配慮しているかどうか?は、製品を購入する上での判断基準の一つになっていると思います。

製品に関わる私も、この記事を読んでいて、決して他人事ではない問題だと思いましたし、デザイン/企画/生産の過程でも、生地の廃棄を出さないためにはどうしたらいいか?日々考えてみたいと思います。

それではまた!

記事を書いた人

井野芙月 
井野芙月

アメリカの大学でファッションデザインを学んだ後にニューヨークで働いていました。皆さんとはまた違った、私自身の目線でニットの情報を発信していけたら嬉しいです。

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