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こんにちは、佐野です!

 

早いものでもう9月も終わり間近ですね、来月はいよいよ弊社の展示会も開催されます!

今回は丸安展の体験コーナーで展示・体験して頂く予定のワインダーについて、お話しさせて頂きます!

 

●ワインダー

ニット製品の生産において、実は欠かすことができないのがこのワインダー。

聞きなれた言葉かと思いますが、実際にご覧になられたことはございますか?

その名の通り、一言で言えば、糸をコーンに巻き上げる機械のことを指します。

今回の展示会ではこのワインダーを設置しますので、実際に見ていただくことができます!

少しご紹介しますね。

 

●コーンの種類

ワインダーで巻き上げる糸の芯となるコーン、私たちは紙管と呼んでいます。

この紙管にも種類はいくつか存在し、素材や染色方法など、糸の特徴や生産工程で使い分けられています。

中でもよく出てくるのがこの二つ。

IMG_5192

左が傾斜の強い9度コーン、右が傾斜の緩い3度コーンと呼ばれる紙管です。

糸が巻いてある状態はこんな感じです。

IMG_5193

傾斜の違いがお分かり頂けますでしょうか?

この他にも主にストレッチ糸に使用されるシュワイダー(パイナップルコーン)なども存在します。

それぞれの用途の解説も踏まえながらワインダーの活躍の場面をご紹介いたします!

 

●意外と様々な用途

糸をコーンに巻き上げる、と言ってしまうとあまりに簡単になってしまいますが、ニット製品ができるまでに、このワインダーは至る所で活躍しています。

 

・染色工場様でのワインダー

<チーズ染色の場合>

染色釜に入れるため、まずは生地糸を専用のコーン(PPコーンと呼ばれる染料の噴射口が空いたコーン)に巻き上げます。

“前巻き”と呼ばれるそうです。

前巻の様子はこんな感じです。

IMG_5199

機械の下に置いてあるのが生地糸です。

ガイド(糸道)を通り、上に横たわっているPPコーンに巻き上げます。

 

IMG_5197

 

巻かれていくと、こんな感じです!

 

 

染色が終わった後には、同じ要領でPPコーンから紙管へと再度巻き直します。

これは“後巻き”と呼ばれ、この状態でニッター様へと出荷されます。

チーズ染色での後巻は、上でご紹介した左側の9度コーンとされるケースが主流です。

 

<カセ染めの場合>

カセ染めの場合は、前巻きの段階でチーズ状態の生地糸から“かせ上げ”を行います。

カセというのはこんな状態です。

IMG_5218

素材にもよりますが、日本国内では1カセ250gとするケースが多く、後巻の工程で4カセを1コーンにし、1kgコーンに仕上げることが多いです。

 

IMG_5214

これは通称”トンボ”と呼ばれ、これに糸を巻き上げてカセの状態にします。

 

 

カセでの染色が終わった後には、再度このトンボに糸を巻き、コーンへと巻き上げられます。

カセ染めでの後巻は、チーズとは逆で3度コーンとなるケースが多いです。

3度コーンとなる理由の一つとして、カセ染色は比較的太い糸や、モヘアタムの様な風合いが重視される糸に対して施されるケースが多いので、
糸をなるべくリラックスさせ、風合いを極力損なわないように、傾斜の緩い3度コーンとなるそうです。

 

 

・ニッター様でのワインダー

ニット製品の生産工場であるニッター様でも、このワインダーは使われていいます。

一番大きな目的は”ろう引き”なんだそうです。

納品された糸を再度巻き上げながら、ガイドにロウを設置し、糸自体の滑りを良くさせ、編立性を良くするのが目的です。

 

もう一つは、3度コーンで納品された糸(即ちカセで染色された糸)を9度コーンに巻き直します。

風合いを重視し、糸の負荷を少なくしている3度コーンですが、
編立が進んで糸が少なくなってくると緩い傾斜が故、編み切る前にコーンから糸が外れ、緩み、絡まりや引っ掛かりの原因となってしまうそうです。

これを避けるため、編立を始める直前に、9度コーンへと巻き直すニッター様も多いようです。

 

他にもサンプル作成時に2本取りや3本取りなど、引き揃えて編み立てを行う場合、ワインダーを使用して糸を割ったり、
ローゲージなど編み時間の早い場合は、2つのコーンを一つにし、一巻きが2kgのコーンにするケースもあるそうです。

 

反対にニッター様でワインダーを使用しないケースは、ストレッチ糸などの糸のテンション管理(糸自体の伸び縮みの具合)が非常に難しい素材で編み立てる場合です。

編み上がった後にテンションバランスが原因で、ストレッチムラ出てしまう可能性が格段に上がってしまうので、私たち糸メーカーからニッター様へ極力巻き直しを行わないよう、アナウンスさせて頂いております。

 

 

以上、こんなに長い説明になってしまうほど、ワインダーはニット製品の生産に欠かすことのできない機械であり、このワインディングにもとても高度な技術が必要とされています。

これもプロの技ですね!

 

丸安展ではワインダー体験ができるコーナーを設けますので、是非お立ち寄りください!

 

本ブログ作成に当たり、多大なるご協力を頂きました新潟県五泉市のニッター様、染工場様、本当にありがとうございました!!

 

 

それでは、展示会でワインダー体験をして頂ける事を楽しみにしております!

記事の内容やニットに関することは、お気軽にお問い合わせください

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佐野 貢士

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記事を書いた人

ミリタリーをはじめ、ヴィンテージのセーターとロックンロールが大好きです。
ギター歴15年、編み物歴は10年になります。
このブログでもニットとロックを絡めた内容で書いていきたいと思っています。
宜しくお願いします!

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