トレンドは繰り返される|80年代に流行したニット糸の今

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こんにちは。大久保です。トレンドは繰り返されているので、今は80年代がトレンドのキーワードとしてピックアップされています。
トレンドが繰り返されるということは、その時に流行したニット糸も繰り返し注目されるということですね。
このブログでは80年代に流行したニット糸をご紹介すると共に、今使えるニット糸をご紹介します。ぜひ企画の参考にしてください。

 

目次

  • 80年代の化学繊維ブーム
  • レーヨン繊維の誕生と特徴
  • 進化したレーヨン繊維の今
  • 流行は繰り返されるリバイバルしたニット糸
  • まとめ

80年代の化学繊維ブーム

70年代から80年代の日本はバブル真っ只中、ブームとなった素材は、化学繊維です。
とくにアクリル繊維であるシルパロンやピューロン、ポリエステルなどの化学繊維が多く使われていました。

長繊維ならではの光沢とキレイなドレープがトレンド傾向にあったことに加え、アクリル繊維特有の扱いやすさと強度の強さが魅力となり人気の素材でした。

そんな化学繊維の分野はとても広く、化学繊維の中には、再生繊維・半合成繊維・合成繊維・無機質繊維と分かれます。
主な化学繊維をまとめてみました。
再生繊維・・・レーヨン、ポリノジック、キュプラ
半合成繊維・・・アセテート、トリアセテート、プロミックス
合成繊維・・・ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリエチレン
無機質繊維・・・ガラス繊維、炭素繊維

アクリル長繊維を使った、ツーピースはこの時代を代表するニットかもしれません。

この時代に、化学繊維ブームの影響を受けてさまざまな繊維開発が行われました。
その中で、私たち丸安毛糸はレーヨン繊維に注目。レーヨン繊維の可能性を見出し、新しい繊維(糸)の開発を行ったのです。

レーヨン繊維の誕生

レーヨン繊維は、化学繊維のなかでも再生繊維に分類されます。名前に”再生”とありますから何かを再生してつくられた繊維です。
レーヨンは”木(木材パルプ)”を原料に作られています。

レーヨン繊維の誕生には、シルクの存在があります。

シルクのような光沢とキレイなドレープ、滑らかな肌触りが好まれていましたが、シルクは超高級繊維なので誰もが気軽に使える繊維ではありませんでした。
そこで、シルクのような繊維が作れないか?ということで、誕生したのが”レーヨン”です。

シルクの光沢が美しい理由は、繊維断面の形にあります。シルクの繊維断面は三角形をしています。
三角形のそれぞれの断面に、光が当たると乱反射を起こします。

この三角形の断面に似せて作られたのがレーヨン繊維です。木材パルプをビスコース法により作られた繊維です。
もともとは、1892年にイギリスで開発された製法ですが、木材パルプの種類を変えるなどしてさまざまなレーヨン繊維が生まています。


また、レーヨンの断面がギザギザしているのは、糸を作るとき、ビスコース液は三角形のノズルを通り、液が固まり糸になります。
ビスコース液は外から内側へ固まる性質のため、外側にシワがよった状態になります。

このレーヨン繊維には、弱点がありました。
重さと、シワになり易さ、手洗いができないという点でした。
この欠点を解消しようとして誕生したのが丸安毛糸の「RAYTECレイテック」という糸です。

進化したレーヨン繊維の今

レーヨン繊維の欠点を改善しようと開発した「RAYTECレイテック」の機能をご紹介します。

約25年前、当時の旭化成工業の方が開発したレーヨンの複合糸は、柔らかくて軽く、当時のレーヨン糸とはまったく違った質感の糸でした。
この質感のレーヨンならニット糸として、さまざまなニット製品に向いていると思った私たちは、 その複合糸をニット用に改良して誕生したのが「RAYTECレイテック」です。

重さを軽減!シワになりにくく!手洗いを可能に!

低収縮のポリエステルをブレンドし、撚りを加えることのない特殊な紡績方法用いています。
撚りが加わると、その分糸は重くなります。レイテックは空気の力でレーヨンとと低収縮ポリエステル を絡めることで糸に加工しています。
つまり、空気が加わったレーヨン糸となります。糸に空気が含まれているので、通常のレーヨンの30%ほど軽くなり、柔らかなタッチとシワになりにくさを実現。
レーヨン独自のドレープ感をのこしている糸構成です。

「RAYTECレイテック」1/50 レーヨン70% ポリエステル30%

※ストックサービス素材ですので、いますぐ使えます。

レイテックが誕生してから、約25年「RAYTECレイテック」は今でもロングセラーの糸です。
ロングセラーの糸の特徴として多いのは、生産サイドのニット製品にしやすさ、と消費者サイドの扱いやすさが良い点です。

生産サイドのニット製品にしやすさとして、レイテックはシーンに合わせて、天竺・ゴム地を変えて使用できるので、セーター・カーディガン・ジャケットなど幅広いデザインに対応できます。適度なふくらみとストレッチ性もあるので、ホールガーメントにもお勧めです。

消費者サイドの扱いやすさとして、シワにもなりにくく計量というところから、旅行用のニットアイテムとしても重宝されています。
またレーヨン素材でありながら、手洗いが可能なのも喜ばれているところです。

流行は繰り返されるリバイバル糸

レーヨン繊維も光沢とドレープの美しさから80年代に人気の素材でした。
レーヨンのフィラメント糸としてリバイバルして販売している糸があります。

Gloriaグロリア」1/30 レーヨン(フィラメント)100%

※ストックサービス素材ですので、いますぐ使えます。

フィラメント糸ならではのドレープとつるっとした表情が特徴です。ダルレーヨンのマットな質感も人気です。
(※ダルタイプのレーヨンでも濃色は光沢がでます。)

懐かしい方には、懐かしく、新鮮に見える方には新鮮!まさに流行は進化しながら繰り返されているんだと実感します。

まとめ

先日行われたジャパンヤーンフェアでも、さまざまな新しい紡績方法や撚糸方法などの技術が発表されていました。
また、いままであった技術をほかの繊維で行ってみたり、組み合わせを変えることで新しい糸が誕生しています。
繊維の業界は日々進化をしています。

このような常識に囚われない考えやさまざまなアイディアに触れることで、前向きにモノづくりを楽しみたいという気持ちが生まれます。
それは糸の楽しさであり、ニットの楽しさです。

丸安毛糸ではシーズンごとに自社展示会を開催しています。ぜひさまざまな糸やアイディアに触れに来ていただきたいです。
(2018春夏向けニット展示会日程。2017年4月10-11日:新潟/4月13-14日:山形/5月24-26日:東京/大阪は未定。)