毛玉(ピリング)を抑える『抗ピル加工について』
- 基礎講座
- 投稿日:
- 2024/4/9
- (更新日:2024/9/9)
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こんにちは八木です。
ニットを着るときに気になる〝毛玉〟… 。毛玉のケアも面倒だったりしますよね。
そんな毛玉(ピリング)を糸の状態で抑える加工があります。
その加工を〝抗ピル加工〟と言います。
そもそもなぜ毛玉ができるの?
毛玉(ピリング)は、繊維同士がこすれ、繊維の表面の毛羽立ちが絡むことで出来ます。
特に冬のニットアイテムに使われる糸は柔らかさやふくらみが求められるので甘撚りの糸が多く、織物と比べると編地の密度が甘いので、より毛玉が発生しやすいと言われています。
また、絡みやすくなる原因としてウールや獣毛の繊維の表面にあるスケール(うろこ)が大きな関わりをもっています。
繊維のスケール(うろこ)とは?
繊維のスケール(うろこ)とは、人間の髪の毛のキューティクルと言わ れるものです。(*上の写真が繊維のスケールです)このうろこ同士がひっかかり絡み合うことで毛玉になります。うろこが大きいと絡みやすく毛玉も出来やすくなります。
毛玉(ピリング)を抑える加工(抗ピル加工)
いまご説明したように毛玉は、スケール(うろこ)が絡むことで出来ます。そのスケールの絡みを防ぐための加工のことを〝抗ピル加工〟といいます。代表的な抗ピル加工をいくつかご紹介します。
樹脂加工
糸の表面を樹脂でコーティングしスケールが立ち上がらないようにする加工。
樹脂でコーティングすることによって、風合いが固くなってしまう欠点もありますが柔らかい樹脂などの開発もされています。でも、風合い重視だと樹脂加工はあまりしません。
オフスケール加工
オフスケール加工とは化学的な手法が一般的で、スケールを薬品で溶かしてしまう方法です。塩素系薬剤を用いることが主流です。
クロイ加工(防縮)・バソラン加工(半防縮)などがあります。
ガス焼き加工
糸の表面にある毛羽をガスの炎で焼いて、表面を滑らかにする加工です。
糸を、炎の中を高速で通して毛羽を焼きます。
まとめ
毛玉を抑える加工は、ニットの縮みの原因でもあるスケールを取り除く加工のため防縮効果もあるので、お洗濯が可能になるものもあります。
ただ、本来の糸の風合いの良さを無くしてしまう場合もあるので、「機能を求めるか」「元々の素材感を求めるか」で選んでいただきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
ではまた次回。