日本にも繊維の産地がいっぱいある事ってご存じでしょうか?

  • ニット製品や糸を生産する工場

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     引用元 http://masuda-tx-ap.co.jp/column/

皆様、令和二年も一か月が過ぎようとしていますが如何お過ごしでしょうか?今冬は暖冬で雪不足と言われていますが昨年も台風をはじめとして天災が続いてしまった一年でした。

そんな中ですが今年は何とか無事に一年を過ごしたいと考えています。

さて新年一発目は昔から日本の繊維の産地ってこんなにあったんですよ~!
という事で産地と呼ばれてきた地区について特徴、成り立ちなどを説明させて頂きます!

繊維業界と言いますと古くから日本を支えてきた産業でした!(最近はそうも言えないような…)
その為に産地と呼べる地区は国内に多く存在していました。それぞれの産地に紡績、織り、編み、染め、という工程が外注として固まっている事で産地と呼べる機能を持っていました。現在はその名残が残っている地区、まったく残っていない地区など色々有りますが国内繊維維産地のそれぞれ成り立ち、歴史を振り返っていきましょう!(少しお堅い内容ですが、お付き合いお願いします)

 

①米沢産地(山形県)天然繊維と化学繊維の総合織物

古くは江戸時代に麻の織物から始まり桑の栽培、養蚕が盛んになり麻絹混織、絹織物へと変化していきました。
時代と共に化学染料により染色や人絹(レーヨン)織物が増え近代化が進みました。<米沢平>と呼ばれる高級袴地が有名。礼装用袴地の95%が米沢産です。

       <米沢平> 引用元 http://819529.com/2015/02/%E7%94%B7%E5%AD%90

 

②栃尾、見附、五泉産地(新潟県)ニット、化合繊織物、先染、後染

ニットセーターの出荷量が日本一です。我がニット業界はこちらの産地に特に支えられてきました!
江戸時代より有数の織物産地でありましたが戦後は洋装の普及と共にニット業が拡大を見せ一大産地へと成長しました。国内外のハイブランドによる受託生産を多く行っています。現在もニット産地としては日本一の規模があり、糸染め、編立、リンキングなどの外注先も集まっています。

      <横編み自動機> 引用元 www.nikkan.co.jp/articles/view/00391517/0/10352

 

③桐生産地(群馬県)絹、複合、合繊、化繊

高級絹織物の生産で栄え、西の西陣、東の桐生と称されました。輸出羽二重を創織した地であり、<桐生織り>は約1300年前からあると言われています。

       <桐生織り> 引用元 https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/kiryuori/

 

④富士吉田産地(山梨県)細番手、先染、高密度

<甲斐絹(かいき)>を代表とする絹織物の生産を担ってきたことから細番手の糸の扱いを得意とする産地です。現在はネクタイ生地、インテリア生地、裏地、傘地、ストールなどの生産が行われています。

 <甲斐絹> 引用元http://www.savlafaire.com/alzw-wrcpbvyrl-30224/uigmtwpycdx-gxjl-idqnomt-lnoceajwkp-ydwlkqilp/

⑤天竜社産地(静岡県)別珍、コールデュロイ、綿スフ織物、合繊織物

別珍、コーデュロイの全国生産量の90%以上を生産しています。明治中期に輸入コール天生地から研究され明治28~29年には生産が可能となっています。当初コール天は鼻緒材料として人気がありました。

<コール天(コーデュロイ)>引用元 https://www.happycloth.co.jp/shop/products/detail.php?product_id=2055

⑥遠州産地(静岡県)綿、朝など天然繊維の広幅織物

静岡県西部地域。泉州、三河と並び日本の三大綿織物産地です。広幅織物が8割を占めます。生産性の高い織機が全盛の時代の中、シャトル織機の保有台数の多い産地です。伝統的なからみ織りの技術が残っています。

      <シャトル織機> 引用元http://textile-tree.com/tex/sanchi/shuttle-loom2/

⑦三河産地(愛知県)綿スフ織物、繊維ロープ

綿伝来の地と言われる蒲郡市を中心とした地域一帯で一次加工品から最終製品までを一貫して生産できる特色を持っています。エアージェット、レピア、スルザーなどの最新鋭織機から小幅の力織機まで保有しドビー、ジャカードを駆使してインテリア、寝装、資材など幅広い分野の織物を生産しています。

⑧尾州産地(愛知県、岐阜県)毛織物を中心とした天然繊維

尾張の国の通称、尾州は毛織物の産地として有名である。元は麻や絹から始まり明治初期までは綿織物が中心であったとされます。明治24年の濃尾大震災をきっかけに綿栽培が困難となり輸入毛糸による毛織物への返還を遂げ苦心の末に毛織物の一大産地へと発展しました。分業体制が確立されており多品種小ロット短サイクルを可能としています。

      <ションヘル織機> 引用元https://hatarakuka.jp/blog/9116

⑨北陸産地(石川県、福井県、富山県)合繊長繊維(ポリエステル、ナイロン)の織り、ニット

スポーツ、アウトドア向けに高密度織物を中心とした合繊の一大産地です。同産地のテキスタイルは衣料用のみならずカーシート、パソコン、建築資材などの産業資材分野にも広く活用されています。

⑩湖東産地(滋賀県)麻織物、染色、整理加工

<近江上布>などで知られる高級麻織物の産地です。琵琶湖が発する湿気から麻の製織に向いた高温多湿な自然条件に恵まれたとされています。また大阪、京都に近く産地として栄えました。昭和50年頃からは着物用の細幅から広幅へ転換し日本の麻生産を支えています。

      <近江上布> 引用元 http://jimoto-b.com/815

 

⑪泉州産地(大阪府)綿スフ織物、タイル、毛布、ニット

綿の栽培に適した土地であった事から<和泉木綿>の産地として名を馳せました。日清日露戦争の軍需から毛布生産に特化し泉大津を中心とした地域は日本の毛布生産の90%を占めています。

      <和泉木綿> 引用元 http://izumimomen.com/diarypro/diary.cgi

⑫丹後産地(京都府)絹織物、ちりめん、染色

日本最大の絹織物の産地。和装用白生地において70%のシェアを誇ります。江戸時代に京都西陣から持ち込んだ撚糸技術をもとに創織したのが<丹後ちりめん>の始まりで産地として発展しました。昭和中頃からは先染織物(帯地、ネクタイ)などの生産も盛んで後染織物(ちりめん)と合わせて絹織物の総合産地です。

      <丹後ちりめん> 引用元 https://thetango.kyoto/luxury/tangochirimen01/

⑬西脇(播州)産地(兵庫県)綿織物、先染

先染の綿織物で国内70%のシェアを占めます。<播州織>とはシャツ地などに使われる薄手の先染綿織物でギンガムチェック、ストライプがあります。大ロットをこなす体制と技術が備わった産地です。

<播州織> 引用元 https://clocomi.jp/2016/06/%E6%92%AD%E5%B7%9E%E7%B9%94%E3%81%AE%E9%AD%85%E5%8A%9B-02/

⑭三備産地(岡山県、広島県)デニム、学生服、帆布

岡山県児島(備前)、広島県福山市(備中)備後地区の総称として三備産地と呼ばれます。
児島は国産ジーンズの発祥の地として有名です。その他学生服やワークウェアなどの丈夫な綿生地の印象が強い産地です。元々の綿織物が盛んな地域に1960年代から国産ジーンズの生産地としての地位を築きました。ジーンズの染色、後加工の技術が非常に高い企業が多くあります
デニムに付きましては以前のブログにも載せていますよ! https://www.knitmag.jp/28757

⑮今治産地(愛媛県)タオル

日本にタオルが入ってきたのは明治に入ってからです。それまで綿の白生地やネル生地を織っていたが昭和27年より当産地でタオルの製織が始まり平成3年ごろに国内最大規模となりました。

      <エアージェット織機> 引用元 https://www.imabari-kinsei.com/flow/

⑯博多産地(福岡県)絹織物

帯などに使われる厚地の絹織物<博多織>の産地です。博多の商人が中国に渡って織物の技術を習得し改良したのが起源と言われます。江戸幕府や皇室への献上品に選ばれ繊細で優美なものが多くあります。

 

      <博多織> 引用元 https://shikinobi.com/hatataori_dentou

 

以上 如何でしたか?ついつい長くなってしまいました!

身近な地域などもあったのでは?と思います。

現在は産地と呼べる規模を継続している産地は数えるほどしか有りませんが、繊維産業に携わる一人として

これまでの日本の産業をけん引してきた業界として自信を持って携わって行きましょう!

ではまた!