風合いの判別法 生地・編地 評価項目について
- ニット製品
- 投稿日:
- 2015/7/13
- (更新日:2020/6/27)
皆さんこんにちは飯島です。
じめじめした日が続きますね~。
このところ湿気が多くて、、、髪の毛も膨らんでもっさり。
そういう方も多いんじゃないでしょうか?、、、実は私もその一人です。
人の髪も毛なんだよなぁ。と編地や繊維に関わっているとふくらみ具合やら結びつけてしまう今日この頃です。
さて、前回は、皆さんが風合いを確かめる方法として、どうやって触っているのか?という疑問から生地の触り方について紹介しました。
つづいて今回は、風合い判断するためにはどんな項目があるのか調べてみましたので、お付き合いよろしくお願いします!
150もの風合いを表すことば!?
もともと、風合いの判断は、プロ(紳士などスーツ生地を扱う人)や長年の経験を積んだ職人たちが手で布をさわり、感覚と経験を頼りに主観的に行っているものでした。
風合いは布地にさわったときの感覚を言葉に表現したものなので、それを表現する用語は数多くあり150を超えるともいわれています!
また、シルクライクな○○など、、、複数の言葉や形容詞を組合せて使うことも多いため、用語はとくに基本的なものに絞り込み、基本項目の特徴を評価し(ポイントつけ)風合いを判定するとされています。
それでは、一般的にはどういった風合いを評価する項目が使われているのでしょうか?
現在に実用化されている風合い測定方法より、一部風合い用語をご紹介します。
(カトーテック株式会社:KES風合いシステムより参照させていただきます ⇒http://www.keskato.co.jp/)
カトーテック株式会社HPより転載させていただきました。
生地の風合い項目 用語
・こし(Stiffness) 触って得られる可撓性、反撥力、弾性のある充実した感覚。たとえば、弾力性のある繊維や糸で構成されている、また適度に高い密度の布の持つ感覚である。
・はり(Anti-drape stiffness)張る性質で、やはり曲げ硬さが主であるが、弾力性の有無は問題にしない。
・ぬめり(Smoothness)細くて柔らかい羊毛の繊維からもたらされる触ってのなめらかさ、しなやかさ、柔らかさの混じった感覚で、毛質の良さからくる柔らかさをいう。曲げやわらかさ、なめらかさ、なめらかな曲げの手触り、すなわち、ころびの良さ、そして曲げにおける弾力的な性質によって判断する。
・ふくらみ(Fullness and softness) かさ高でよくこなれたふくよかな布の感覚である。圧縮に弾力性があり、曖昧を伴う厚み感である。
・しなやかさ(Flexibility with soft feeling) やわらかく、ドレープ性を加味し、触ってなめらかな感覚を含んだ総合風合い。これは基本風合いではないが準基本風合いで婦人用薄手布の性質を表現するのに重要なものとして加えられている。
・ソフトさ(Soft feeling) かさ高さ、曲げやわらかさ、なめらかさの混じったソフト感。準基本風合い。
・しゃり(Crispness) 粗く硬い繊維や強撚の糸から生まれる触ってしゃりしゃりした感覚。たとえば、ポーラ地に強く現れる感覚をいう。主として布の表面の感覚である。布のすべての種類の剛さがこの感覚を助長する。
・きしみ(Scrooping feeling) きしむ感覚。絹繊維がこの感覚を強くもっている。
どうでしょう、うまいこと基本的な特性に分解されていますよね?
一つ一つの項目ごとにポイントをつけ、生地のバランスを求め、多角的に風合いの評価を行っています。(参考で写真を掲載させていただきましたが、機械での測定方法などは、また調べてご紹介します。)
規格について
今回調べていくうちに、全く知らなかったことだったのですが。
試験方法や規格について、風合いの計測に関する様々な研究は進められていますが、“風合いの試験方法”はJIS規格やISO規格には規定されていませんでした。
感覚により評価される特性を数値化し、物理的な特性を対応づける方法が一般的に研究されていますが、測定する技術や対象など研究点が多くJIS規格、ISO規格ではまだ規定を持ててはいないそうです。
まとめ
風合いの判別ということで、ちょっとした疑問から調べてみましたが、ご参考になったでしょうか?
人の触覚についての研究も、ここ数年で大きく進んでいるようです。
ただ何気なくさわっていても、多くの感覚が働いています。
今度生地をさわった時には、手の伝わった感覚をそれぞれの項目ごとに気にしてみてはいかがでしょうか?
参考文献:
・繊維製品の基礎知識 第一部 繊維に関する一般知識(改定第二版):発行者 日本衣料管理協会
・繊維製品の基礎知識 第二部 家庭用繊維製品の製造と品質(改定第二版):発行者 日本衣料管理協会
・カトーテック株式会社 HP
・無印良品 暮らしの良品研究所 HP